してくれ。茶々、初、江も一緒だ。」 浅井軍が織田軍にお市と娘達を引き渡すと、いよいよ本丸で激しい攻防戦が始まった。本丸以外の郭には織田の旗印が靡く。長政の本丸はまさに大海に浮かぶ一枚の木の葉の如きものであった。 「かかってこい!近江武士の意地を見せ付けてくれるわ!」 長政は自慢の巨体を揺らして槍を振り回し、多くの織田軍を薙ぎ倒した。
www.dunhillemotionaljp.info 「あれが長政ぞ!かかれ!組み討ちして首を取れ!」 織田軍の先陣を切る秀吉が大声を上げて手勢を嗾ける。 (お市様をお市様をわしのものに!)
ショップ 秀吉はこの戦で一番手柄を挙げた暁には、お市の再嫁を褒美として申し出るつもりであった。子を幾人もうけても全く衰えないその美貌に、稀代の女好きでもある秀吉はぞっこんであったが、秀吉は単なる色欲狂いではない。お市を嫁にすれば信長の義弟となれる。
クリスタン 家中でも一目置かれる存在となり、出世争いは俄然有利となる。お市とその娘達の解放を粘り強く交渉したのも全ては己の出世のためである。これで信長とあわよくばお市の感心も買おうとしたのである。 (いつまでも光秀の後塵を拝してはおられぬわ!) 秀吉の手勢は勇猛な浅井軍の最後の抵抗にも怯まなかった。 長政の奮戦が続くものの多勢に無勢。九月一日には本丸の赤尾屋敷に追い詰められ、最期の時を迎えようとしていた。 「金ヶ崎のあの選択は誤りだったのか。私は斉藤龍興に唆されただけなのか。信長についていれば、お市と子らと幸せな暮らしが続いていたのか。」 屋敷の外の喚声が聞こえないかのように、長政は屋敷の一