それで、お前さんは違和感を持った、と……その違和感を解消する仮説をいくつか思いついたのだが……聞いてみるか?」 「まあ、これ以上、あそこからモンスターがあふれてこない限り、暇だからな。 いってみろよ」 「まず、こいつらは、これまでこの迷宮内に発生したモンスターとは違って、単なる野生動物だと思う」 「……野生動物? こんだけの数が?」 「群をつくるる動物なんて、
www.riwww.com別段珍しくはなかろう? いくらでも類例はある。 で、この群は、あそこの門あるいは階段を経由して、一斉に移動してきたんだ。 やつらにしてみれば、やむにやまれず移動した先が、やつらにとっての新天地にあたるこの迷宮だった、というだけのことで……」 「あの、どでかい門、っ
996 ニューバランスてのは……結局のところ、なんなんだ?」 「お前さんにも理解できるようにめちゃくちゃわかりやすく説明すると、別の世界とこの世界とを繋ぐための、おおがかりな仕掛けだな」 「つまり、今回大量発生したこいつらは……別の世界の野生動物で……こいつらの移動先に、たまたまあの門……世界を移動する仕掛けがあったから……今回の事件が起きた、と……」 「あくまで仮説、ではあるがな。 世界を越えて物質を移
ニューバランス 993動させるのには膨大な魔力を必要とするわけだが……ことによると、この迷宮はその魔力を備蓄するためにしつらえられた、冗談みたいにスケールが大きな罠なのかも知れん。 この迷宮は、外の世界よりも濃い魔力が漂っている、ということは、そちらの魔法使いも確認していることだろう。モンスターを呼びだしてそれを餌に冒険者を呼び寄せ、内部で倒れたものの生命エネルギーを魔力に変換して内部に備蓄する……そういう罠、なのではない