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天秤に乗った素材は宙をクルクルと舞いながら細かく砕けていく

隣で、今日初めて出会った少女がすやすや寝ている。 眠れない。 「ねえ、旦那様、起きてらっしゃる?」 小さな声が聞こえ、驚いた。 ベルルはすっかり寝ていたと思っていたから。 「な、なんだ」 「ベッドがふかふかして眠れないの。どうしよう」 ベルルは床で寝ても良いかと聞いてきた。 当然駄目だ。 「……仕方が無いな」 僕は起き上がって、小さな魔法結晶のランプの灯を付けた。ベッドを出て隣の書斎へ向かう。 するとベルルまでベッドを出ててくてくついて来た。 「薬を取りに来ただけだ。寝付きのよくなる薬草の茶を飲むと良い。僕は王宮で魔導薬を研究している身だ。良いものを持っている」 「……薬草のお茶?」 棚に並べられた瓶詰めの干した薬草を数種類選んで取り出し、机の上にある天秤に乗せた。 宙に魔法式をさらさらと書くと、天秤に乗った素材は宙をクルクルと舞いながら細かく砕けていく。 さっきまで枯れ葉の色をしていた薬草が再び天秤の皿に戻った時、それらはキラキラした緑色の粉になっていた。 ベルルは「魔法ね!」と興奮していた。 ベルルはベッドの上で、僕は側の椅子に座って、真夜中にお茶を飲む。なんとも不思議な気分だった。 「ベルル、一つ聞いても良いか。君のいたあの地下牢……あの場所に訪れる者はいたのか? その、あの老人以外に」 「ほとんど居なかったわ。国王様は、あまり私の事を良く思っていなかったみたい」 この世界の者は、旧魔王の娘と言うものに良い意味を持たないのではないだろうか。
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